「何度合わせても合わない」は卒業。吹奏楽の和音が劇的にハモる“倍音”の魔法と物理的解決策

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**この記事は私が19年の音楽制作経験に基づいて、初心者の方の失敗を減らすために執筆しました**

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吹奏楽の演奏では和音を合わせる際「純正律」を用いることがほとんどだと思います。ですが、合奏の際、何日間、何度合わせてもぴったり合わせることはとても難しいですよね!この部分に悩んでいる指導者や先生方の方は本当に多いと思います。

ですが、「純正律は理論的に完全に合うことはない」ということを知っている方はとても少ないはずです。

ここで「え?」と思った方はこの記事を最後まで読んでいただきたいです。本記事ではこれらの内容を「倍音」や「楽器の特性」など様々な観点から理論的に解説し、最後には音の良い混ざり方までコンクールで差をつけるために必要な要素を徹底的に解説していきます。

本記事の内容を理解するだけで「どのように合わせていくか」と言う点で様々な解決策を見出すことができ、自分のバンドに合わせた具体的な解決方法が見つかります!

そもそも「平均律と純正律の違いは何だっけ?」という点から入念に確認していきますので、吹奏楽において、自分のバンドの演奏のレベルを向上させたい指導者・先生方は勿論のこと、演奏する学生さん側も、この点を知っていて演奏するのではレベルが格段に違ってきますので是非最後までご覧ください!

「音楽・音」の根本に触れていくため、記事の内容は難しく、少し長くなってしまいますが、丁度これから夏のコンクールに向けて本格的な準備に入る期間だと思いますので、今年こそは強豪校と並べるように、基本的に言われていること以外にも「音楽そのものの性質」から理解し、改善していきましょう!

それでは本題に入って行きます!

この2つの違いをしっかり説明できるかが、本記事を理解するために必要な最初の1歩となる、最も大切な考え方の1つです。この2つには以下の様な違いがありますが、ここまでは何となく知っているという方が多いのではないでしょうか?

  • 平均律:和音を合わせたときに音が濁る
  • 純正律:和音を合わせると音が濁らない

では、この2つを理論的に説明できますでしょうか?理論的に説明すると以下の様な違いが生まれます。

  • 平均律:オクターブ(12音)を数学的に12等分した調律
  • 純正律:倍音のルールに従った整数比の自然な調律

この2つには以下の様なメリットデメリットがあります。

メリット
・平均律:ピアノ等の簡単にチューニングを変えられない楽器でも、どの調に転調しても同じ響き方で演奏できる
・純正律:音の周波数が整数比になるため音が重なった時に「濁り」が出ない

デメリット
・平均律:どの和音も物理的に「濁る」
・純正律:ピアノ等の簡単にチューニングを変えられない楽器では、全ての調を同じ響きで演奏することができない

この説明を見ると、簡単にピッチを調整できる吹奏楽では、純正律を採用するメリットが大いにありますね!

ですが、筆者は「純正律は理論的に完全に合うことはない」と書きました。どういうことか気になると思いますが、まずは倍音の仕組みを覚えた方がより理解が深くなりますので、先に倍音の仕組みを見ていきましょう!

倍音とは「実は基準の音以外に鳴っている音」と捉えていただければ最初はOKです!

具体的にはどういうことかと言うと、例えば「ラ」の音を演奏したとします。そうすると「ラ」の音が聞こえてきますよね。何を当たり前のことを言っているんだ!と思うかもしれませんが、これが「基準の音=第1倍音」になります。

音は「振動」であるということは多くの方が知っているかと思いますが「1秒に何回振動震えたか」という基準で「Hz」と言う単位で表すことができます。

ここで大事なのが、人間には聞こえる音の振動の範囲である「可聴域」と言われる周波数帯があることで、その範囲は「約20Hz~20kHz」と言うことです。

何故大切かと言うと、この中で「ラ」を演奏した場合、当然「ラの周波数が強く聞こえる」ため、自分たちは「この音はラだな」と聞き取ることができます。

ですが、この時「正確にはラ以外の周波数」も可聴域の中で同時に鳴っています。この時「ラ以外の音が聞こえない」のは基準の音に比べて弱い振動で鳴っているからです。

この「基準の音=第一倍音」を中心として、その基準の音の倍の周波数のことを「倍音」と言います。

例えば「ラ」は「440Hz」ですが、
・第二倍音は「880Hz」の「1オクターブ上のラ」
・第三倍音の「1320Hz」の「1オクターブと5度上のミ」
と言うように、基準の音から「n倍」の周波数を倍音と言います。

この時、奇数番目の倍音を「奇数倍音」・偶数番目の倍音を「偶数倍音」と言います。

なぜ倍音が重要視されるかと言うと、それには様々な理由がありますが、本記事の中で重要な要素は

「音楽耳が育っていると倍音は聞こえるから」です。

特に音楽耳の感覚が強い方だと「第7倍音」くらいまでは聞こえてしまう方もいます。

因みに.....
物理的に説明すると難しくなってしまうので簡単な説明ですが、倍音以外の音が聞こえないのは楽器の中で振動した際に倍音以外の音が打ち消し合ってほとんどなくなってしまうから。と覚えていただければ最初はOKです!

「平均律」と「純正律」はこの部分で大きな違いが出てきます。

「平均律」はオクターブを数学的に12等分する方法なので、倍音や音そのものに「小数点」が付くことになりますね!ここが和音を作った時に「濁り」として聞こえてきます。

「純正律」は先程の例のように整数比を使うので「小数点が出ない=濁りがない」というイメージです。

ここだけ見ると、純正律では必ず濁りが無くなるよね?という思いがなおさら強くなったと思いますが、ではなぜ「純正律は理論的に完全に合うことはない」のかを、次の章で確認していきましょう!

純正律は理論的に完全に合うことはない、具体的な仕組みは「インハーモニシティ(非調和性)」があるからです。

インハーモニシティがどうして起きるかと言う具体的な仕組みの説明ですが、簡単な例えにすると「ゴムを引っ張って弾いた時」の様な仕組みと言えます。

例えば「ゴムを引っ張って弾いた時」、中心の部分は緩やかに安定した振動を得ることができますが、引っ張っている指に近い部分は中心部と違い、安定した緩やかな振動を得ることができませんよね!

この部分が「インハーモニシティ(非調和性)」を起こす仕組みになっています。

管楽器では、胴(楽器の中心部)ではこの「緩やかで安定した振動」を得ることができますが、音の出口であるベル付近では、ベルの広がりによって音が跳ね返る位置が少し変わってしまい、この「緩やかで安定した振動」を得ることができません。

また、高音域の倍音になればなるほど少しピッチが高くなってしまうという性質を持つため、計算上の完全な純正律というものは存在しなくなってしまいます。

では「どのようにピッチを合わせて行くか」が問題になりますが、これは「耳で合わせる」と言うのが正解になってきます。沢山の「良い音楽」に触れて自分の「音楽耳」が育たない以上は「高度な純正律を保つことができない」ため、演奏者だけでなく「指導者の成長」も和音を純正律で合わせる上で重要な事の1つです。

先程「耳で合わせるのが正解」と記載しましたが、それ以外に純正律で和音を合わせる方法が無いのかが気になりますよね!

筆者は、実精度の高い純正律を楽曲演奏中に維持する方法は耳で合わせるしかないと考えています。

チューニングはあくまで「基準」であり、その他は「耳で合わせる」しかないのです。では、筆者が何故「耳で合わせることに」こだわるのかを、いくつかの要素別に見ていきます。

この点は知っている方がほとんどだと思いますが、管楽器であれば楽器自体の温度や空気を入れる角度、部屋の温度や湿度によってピッチは大きく変動しますよね!

事前にチューニングで、しっかりピッチを合わせたとしても会場や練習室の温度や湿度がエアコン等で変化すれば、そのチューニングは、はっきり言えば意味がなくなってしまいます。

楽曲演奏中に事細かに数分置きにチューニングすることは、練習では出来ても、本番ではできませんよね!ですので、耳で合わせと言うことが重要になってきます。

これは非常に面白い音の性質なのですが、「同じような音域で、わずかに違うピッチ」例えば「440Hzのラ」と「441Hzのラ」が存在した場合、音が大きい方つまりは、エネルギーが強い方に合わせて濁りを解消しようとする「強制同期(引き込み現象)」という現象が物理の世界で確認されています。

ですので、このわずかな違いを耳で聴きとることが出来なければ「濁り」がより大きくなっていくことになりますので、数値だけでなく耳で合わせることが重要になってくる訳です。

木管楽器では特に、同じ音を出せる違ったキーの押さえ方が複数あります。つまり「ド」の音を出すのにも、複数の指の押さえ方があるということです。

ここで、各演奏者が全員違った押さえ方をしている場合「音が出るまで通っている管の長さ」が変わるため、ピッチも変動します。この際は勿論耳で合わせることが重要になってきますし、また場合によっては運指を変更する指示を出したほうが良い場合もあります。


この様に、チューナー上の数字だけでは測りきれない、細かい変動が楽曲演奏中には起こることになります。

これらはどうしても「耳で合わせる」しか方法がありませんので、指導者・先生方の音楽的成長も、純正律で合わせる上では重要になってきます。

これの答えはずばり、楽曲中で「平均律」と「純正律」で響きを調整する所を分けるのが正解だと筆者は思っています。

何故そう考えるのかは「ピッチドパーカッション」があるためです。

ピッチドパーカッションとは:噪音ではなく、実音がでるビブラフォンやシロフォン、ハープの様な打楽器のこと

これらの楽器は純正律で和音を鳴らすことができません。ですが、多くのピッチドパーカッションは音を長く伸ばすことができないため、気にならないことの方が多いという状態です。

例外は「キメの和音」の際にビブラフォン・ハープ・ピアノ・ティンパニーなどの「音が長く伸びる打楽器」が入っている場合です。

「音が長く伸びる打楽器」は平均律で調整された音程を鳴らすことになるので、純正律で合わせた管楽器と音の波がぶつかり「濁り」が必ず発生します。

吹奏楽では「平均律」が嫌われる傾向にありますが、クラシックも含めて世の中の楽曲は多くの場合「平均律」です。「平均律・純正律」この2つはあくまで調(スケール)を調整する際にどのようなルールにするか、と言う違いで「純正律だから音が良い」「平均律だから音が悪い」と言うような違いは決してありません。

ですので、楽器の特性も含めて「純正律で合わせたほうが楽曲をより良く出来る場所」「平均律で合わせたほうが楽曲をより良く出来る場所」の場合分けをスコアを見ながらしっかり確認し、時と場合で組み立てて行くことが大切です。

これも面白い現象なのですが、純正律で完璧な和音を演奏できると、物理的に「そこに存在しないはずの低い音」が聞こえてくる「差音(タルティーニ音)」という現象が確認されています。

この現象により、周波数帯が豊かに鳴り、より重厚なサウンドに聞こえてくる点と「濁り」が発生しないことから「濁りがある場合」よりもエネルギーが大きく、音量感が大きく聞こえることが最大のメリットだからです。

本記事で音の混ざり方まで紹介する理由は、倍音の性質によって音の混ざり具合が違う場合があるためです。

「音が調和したな」「音が混ざりあったな」と感じる際は「倍音も含めて音の波が完全に調和した時」と言い換えることができます。

多くの場合、奇数・偶数問わず。全ての倍音が出る楽器の方が多いため「まとまった良い音」と感じることが多いのですが、実は楽器によっては「奇数倍音しか出せない楽器」があります。

具体例としては、隙間なく色が塗られた「塗りつぶしの絵」に「ボーダー柄の絵」を重さねるようなもので、奇数倍音しか出せないボーダー柄の絵は浮いて聞こえてしまう現象があります。

また、奇数倍音しか出せないボーダー柄の絵には「鼻にかかったような独特な音になる」という性質があるため、余計に浮いて聞こえてしまいます。

例えば、全倍音を出せる楽器であるサックスと奇数倍音しか出せない楽器であるクラリネットのユニゾンがあった時、その楽器が主旋律を演奏していれば、そのままピッチを合わせることで「澄んだ音」にすることも可能ですが、楽曲の中で調和しなければならない「和音を作る役割」「副旋律」の場合、そのままだと浮いてしまう場合があります。

加えて、倍音の性質の他にも、金管楽器や木管楽器の様に素材の性質の違いによっても調和の仕方が少し変わってきます。

こう言った場合は、編曲者が作った楽譜をそのまま演奏することに固執せず、性質を見極めて、接着材としてフルートや、高音をまとめる役割を持つ、ユーフォニアムやトロンボーン、チューバ・コントラバス等の低音楽器で1オクターブ下のユニゾン演奏をする等、人員が余っている場合はフレーズを演奏する楽器の編成を工夫することも必要です。

因みに.....
偶数倍音しか出せない楽器は存在しません。なぜなら基準となる音「ラやミ等の音程」が第一倍音という奇数倍音だからです。


なぜそのような性質が出るかは物理的な分野になりますので、また別の記事で詳しく解説するとして、理屈は分ったけど、何の楽器が全倍音を出せて、何の楽器が奇数倍音しか出せないのかが気になりますよね!

それを簡単な表にまとめてきましたので、参考にして見て下さい!

弦楽器コントラバス
金管楽器全般
木管楽器サックス全般、オーボエ、ファゴット、フルート、ピッコロ
木管楽器クラリネット、バスクラリネット
打楽器シロフォン、マリンバ、ビブラフォン

本記事では「平均律」と「純正律」の違いから、その特性によって音が混ざりやすい楽器の組み合わせ等を「音楽・音」という根本的な部分に着目し、理論的に解説してきました!

本記事の内容の通り「純正律」で合わせることができないのは、演奏者のレベルが低いからだけでなく、指導者や先生の音への理解が足りないから、という点も場合も多くあります。

演奏は指揮者・プレイヤー両方の共通認識や協力があって初めて成り立つものです。コンクールで上位入賞を果たしたい場合は、プレイヤーへの練習の指示だけでなく、あくまで指揮者も同じように努力しなければならないということを忘れないで下さい!

本サイトでは、本記事の様な音楽や音の「基本的な性質」に基づいた、コンクールだけでなく普段の演奏時から意識したいことを徹底的に解説した記事が多数ありますので、以下のリンクからご覧いただければ幸いです!

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本記事の内容は、実際の制作・宅録環境での使用経験や、複数の機材・手法を比較した上での判断をもとにまとめています。環境や目的によって最適解は変わる為、あくまで一つの現実的な指針として参考にして下さい。

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ギタくん(メインライター)

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音楽歴19年。現役で作編曲家として活動中。これまで音楽業界で様々な仕事を経験し、現在はプロの目線から「本当に役立つ情報」を発信するために「PRO,Sound Designチーム」を運営。
自身も「PRO,Sound Designチーム」の中から、特に「機材情報」をピックアップして紹介する当サイトのメインライターも行っています。

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