
**この記事は私が19年の音楽制作経験に基づいて、初心者の方の失敗を減らすために執筆しました**
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ギターやベースを購入する際に「良い商品は高額なイメージがある」と言うのは皆さん共通の考え方だと思います。事実、輸入が難しい木やピックアップの良さ、塗装の違いなどから「良い音」や「良い使用感」の商品は高額になることが多いです。
高額な商品を買う際に、1つの選択肢として浮上してくるのが「ビンテージ商品」ですよね!特にギターやベースの分野において、ビンテージは全プレイヤーの憧れですし「せっかく大金を出すなら…」と、選択肢に含める方も少なくないはずです。
特に、製造が加速した1970〜80年代のビンテージとなると、本体で100万円を超えるものや、エフェクターでも10万円近くするものまであり、現行品と比べると、カスタム商品でも届くか届かないかくらいの超高額になります。ですので「もっと上手になったら買おう」「いつかプロになったら…」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、ここで少し立ち止まって考えてみてください。「ビンテージ」という響きだけで、購入を検討していませんか?その楽器は、本当にあなたの演奏を良くしてくれる「最高の一本」でしょうか?
「確かに、ビンテージの本当の良さってなんだろう?」と思った方は、ぜひ最後までお読みください!実はビンテージ商品は、その特性や強みを理解していないと「あれ?もしかして普段使いには向いていない?」と意外とがっかりしてしまう部分もあります。
ですので、本記事では、ビンテージ商品の「本当の魅力」や「なぜ高額になるのか」を解説しながら「本当に使える最高の一本」を選ぶコツを紹介していきます!
それでは早速、本編に入っていきましょう!
ビンテージ商品ってなんで高額なの?
ビンテージ商品が高額になる理由は複数ありますが、分かりやすい部分を以下の表にまとめましたので、一度確認してからそれぞれを個別に詳しく見ていきましょう。
- 現代ではあまり使用されていない材料や制作技術が使用されている
- 状態が良いものだと、演奏用ではなく「コレクション商品」としての需要がある
- 過去の伝説と言われたプレイヤーと同じモデルのこともある
①:現代ではあまり使用されていない材料や制作技術が使用されている
先ずは材料の方から見ていきましょう!
昔は「ローズウッド」や「エボニー」と呼ばれる木材がギターやベースを制作する際に「良い音」が出ると評判の木材でした。現行品でも高額なギターになるとこれらの木材が使用されることが多いです。ですが「密猟や乱獲による絶滅を防ぐこと」を目的に施行された「ワシントン条約」によりこれらの木材を当時より商品の制作に使用できなくなったこともあり、基本的にこれらの木材を使用した商品は「貴重なもの」として現行品・ビンテージ問わず価格が上がっています。
次は技術の面です。ここで挙げられる技術は3つありますので順に解説していきます。1つ目は「ラッカー塗装」についてです。
ラッカー塗装は現代でもカスタム品や一部のメーカーで扱っているところもありますが、現行品のほとんどはポリ塗装になっています。当時はラッカー塗装が主流で、その理由は2つありました。1つ目は「職人が直々に制作していたこと」です。ラッカー塗装は木材の響きを極限まで損なわないため、ギターやベース本体の音を最大限に活かす塗装として人気でしたが、ソリッドギターが一般にも普及してくると大量生産が必要になってきました。ラッカーは何度も塗りを重ねることが必要だった他、塗装が乾燥するまでも多くの時間が必要だったり、湿度による影響を受けやすく塗装のひび割れなどが頻繁に発生するため、生産コストも低く管理も簡単なポリ塗装が業界内で標準になっていくことになります。加えて、ラッカー塗装は乾燥する際に有害な物質が多く発生したため、生産者の健康面も含めて少なくなっていったという経緯もあります。
2つ目は上記の内容と少し被るところがありますが、エフェクターやピックアップの内部で電流を制御する基盤やピックアップの制作も当時は職人さんの手作業で行われていたためです。全ての商品が職人さんの手で行われていたわけではありませんが、全く同じものが少ないという事実もあります。部品自体は現存するものもありますが、配線の方法や接続に関しては現代では機械で効率的に生産されているため「一品もの」と言うのも価格を上げている理由の1つです。
3つ目は「シーズニング」と呼ばれる工程の期間の違いです。
「シーズニング」とは木材を乾燥させる工程ですが、現行品の物よりもビンテージ商品の方が生産されてから現在に至るまでの期間が長いため、楽器内部の水分が多く抜け「乾いた音」が出るようになります。この期間は現行品には物理的に再現できないため、価格を上げている一つの要素です。
②:状態が良いものだと演奏より「コレクション商品」としての需要がある
ビンテージ商品は「演奏したい」と思って購入する方もいらっしゃいますが、それと同じくらい「演奏はしないけど手元に持っておきたい」という「コレクションとしての一品」として購入される方もいます。
他のジャンルのビンテージ品でも同じですが「滅多に市場に出回らないもの」があると需要は少なくとも、マニアックなコレクターが一気に集中し価格が高騰することがありますよね!
その原理と全く同じで、歴史的価値なども含めプレイヤーの方でなくても購入することがありますので、状態が良いものや「フルオリジナルパーツ」だと特に価格が上がってきます。
③:過去の伝説と言われたプレイヤーと同じモデルのこともある
やはり「あの伝説的ギタリスト・ベーシストの〇〇の音を目指したい!」「あの名曲の音に近づけたい!」と思う方は現代でも多く見られます。現実的な話をすれば、機材や細かい音作りを考慮すると「全く同じ音」を再現するのは不可能です。
ですが「あのレジェンドがこのモデルを使っていた」という事実があれば、憧れを抱くファンにはたまらない一品となり、欲しいと思う方は少なくありません。そのプレミアム感が、価格を押し上げる大きな理由になっています。
ここまで読んでいただくと、ビンテージ品が高級である理由は理解できたかと思います。しかし、ここで1つ大きな疑問が浮かび上がってきませんか?
それは、現在の高額なビンテージ価格には「当時、そのギターがプレイヤーからどんな評価を受けていたか」「当時いくらで売られていたか」という視点は考慮されていないのです。
つまり、極端な例にはなってしまいますが、現代で「初心者用」と言われている低価格な商品も、数十年後には「古いから」という理由でビンテージ品として高額になっている可能性があるということです。
もちろん全てのビンテージ品が悪いものではありませんが、演奏目的で良いビンテージ品の購入を検討する時は、その響きに惑わされず「当時どのような評価だったか」は最低限気にした方が良い要素の一つになります。
今の説明だけだと「ビンテージ品って買わないほうが良いの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。もちろん、ビンテージ品にしか出せない音もありますから、その使いどころを理解していればこれに勝る商品はありません。
では、ビンテージ品の力を最大限に発揮できるジャンルや使いどころを次の章で解説してきます!
ビンテージ商品の強み
ビンテージ商品の強みとはズバリ「唯一無二の乾いた音」にあります。
「乾いた音」は現代でもブルースやジャズ・ファンクなどのジャンルにおいて必要不可欠の要素であり、現行品のギターではエフェクターなどでわざわざ再現するほどの需要があります。ですので、これらのジャンルを主体に演奏されている方はビンテージ品に勝る一本はありません。
加えて、ポップスでも「ギターソロ」などではビンテージギターの力を最大限に発揮することができます。ギターソロはレコーディングでは基本的に「バッキングギター・リードギター」とは別で録音されることが多いため「抜け感のあり、エフェクターの乗りが良い乾いた音」はそのプレイヤーのオリジナル音としてその魅力を最大限に発揮することができます。
「ビンテージのベース」においては使いどころが正直難しいところです。現代の邦楽のポップスのアンサンブルの中では少し馴染まない部分もあるかもしれませんが、エフェクター乗りが良いことを考慮すると、3ピースや4ピースの小編成のバンドや洋楽の様なアレンジのロックなどではその魅力を最大限に発揮することができると言えます。
では、弱みはどんな部分だろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは「最高の一本を選ぶ」という内容に深く関わってきますので、次の章で合わせて解説します!
最高の一本を選ぶコツ
さて、先程の章でビンテージ商品の弱みは次の章と深く関わりがある。と説明しましたので、その結論から見ていきます。
ビンテージ商品の弱みは「現行商品とのアンサンブルの中で浮いてしまう」と言うことです。
ギターやベースだけでなく、楽器は基本的に、その時代の音楽に合うような設計や仕様になっています。ですので「一本だけがビンテージ品」の状態だと、どうしても浮いて聞こえてしまうという現象が起きてしまいます。もちろん、現代の技術を使用すればEQやコンプなどである程度馴染ませることができますが、それはDTMで行える「録音」という範囲だけの話であり、ライブ等ではそうはいきません。加えて、編集や修正ができるとは言っても、その範囲が少なければ少ないだけ聴き手側に違和感を与えずに済みます。
つまり、あくまで焦点は現代の邦楽に限ってではありますが、無理にビンテージ商品を使用するより「現行の上級ライン」を使用する方が違和感なく、まとまった音として様々な楽器とアンサンブルの中で共存することができます。
ですので、高額な商品を検討する際は「ビンテージ」「現行品」という比較ではなく「自分が普段から使いたい音」「自分が使いやすい性能」かという視点で商品で検討しましょう!
現行品でビンテージっぽさが欲しい場合
前までの2章で説明した内容を考慮したのち「やっぱり現行品だなと思ったけど、ビンテージも捨てられない」と思う方もいらっしゃると思います。ですので、現行品でありながらビンテージらしさが得られるギター・ベースの選び方を4つご紹介します!
①:ピックアップがビンテージ仕様になっているものを選ぶ
実はいくつかのメーカーで、木材や塗装は現行の仕様になっているけれど「ピックアップ」はビンテージ仕様になっている製品が存在します。
ピックアップは弦の振動を拾うギターやベースのマイクの様なものですから、この部分がビンテージ仕様になると「全く同じ」とは言えませんが「ビンテージのニュアンスを含んだ現代的な音」という絶妙な間を取ることができます。
筆者もこのタイプのギターを使用していますが、普段は現代的な音使いを意識できますし、中音域が豊かな分、ブルースなどのジャンルではエフェクター次第で、ビンテージの様な独特なニュアンスを得ることができとても満足しています。
ですので、この様な「若干のビンテージ仕様」の現行品を選ぶことも選択肢の一つです。
②:カスタムでラッカー塗装にする
ラッカー塗装とポリ塗装では、もちろん音色も変わってきますがそれ以外にも「見た目」が変わってきますから、ビンテージ好きとしては欠かせない要素の1つですよね!傷がついていなくても、自然な光沢や塗装のひび割れはそれだけで使用感があり、ビンテージっぽく見せてくれます。
もちろん楽器は練習しないと(=触らないと)上達しませんから、毎日触りたくなるような楽器を選ぶのも大切な事です。メーカーによって価格は様々ですが、ラッカー塗装をカスタムで行ってくれるメーカーもあります。また、リペアショップなどでもポリ塗装を剥がして再度ラッカー塗装を施してくれるショップなどもありますので、こういったカスタムで見た目を大幅に変えるというのも1つの選択肢です。
③:リペアショップでレリック加工をしてもらう
ビンテージ品の塗装が剥げて、木材が自然に出てきているあの「使用感のある見た目」はうなるものがありますよね!現代のポリ塗装では基本的に起きないことですから、あの見た目が良くてビンテージ品の購入を検討している方も少なくないと思います。
実は、あの独特な見た目は「レリック加工」として、現行品でも再現することができます。加工はリペアショップでも行ってくれるところもありますが「レリック加工専門の業者」さんもありますので、あの見た目が欲しい!ということであれば、レリック加工も選択肢の1つです。
④:両方購入する
極論ですが、現行品とビンテージ品を両方とも購入するというのも一つの手です。ひとえにビンテージ品とは言っても、実は値段はピンキリです。イメージされるのは100万円を超えるものや1000万円近くなど、いわゆる「超高級品」を想像するかもしれませんが、現行のカスタム品と同じくらいで50万円前後のビンテージ品も存在します。
ですので、普段使いを想定した一本とは別に、趣味や特定の場合にのみ使用する一本として両方購入してしまうという手もあります。
本当は教えたくない、筆者のおすすめメーカー
上記の解説は「どこかは妥協して、現行品の見た目や性能の一部をビンテージに寄せる」という選択肢でしたが、実は現代の音楽で使用されることを想定された、現行品でありながら「完全にビンテージに寄せ切った」この全てをクリアできるメーカーが1社だけあります。
それは「Nash Guitars」というメーカーです。筆者は所持はしていませんが、実際に演奏したことがあります。その時の衝撃は今でも忘れません。「現代的なアンサンブルに馴染む扱いやすさなのに、ソロを弾いた瞬間にビンテージ特有の唯一無二の軽さと空気感が溢れ出てくる」という、まさに両方の良いとこ取りをしたような完璧なギターでした。
その音もさることながら、色味も自然に色あせしたようなビンテージの様な見た目でありながら、レリック加工の商品も多く取り扱っています。価格も新品で40万円前後~と言った価格帯で、現行の上級ラインとしてもビンテージの現実的なラインとしても、どちらの視点から見ても良い間を取ったような価格帯です。
あくまで筆者の感想ですが、どの需要も満たす完璧なギターだなと言う印象でした。「本当は教えたくない」と記載したのは、実はまだ日本国内ではあまり出回っておらず、まさに幻のギターだからです。
また「Nash Guitars」のすごいところは「エンドース契約を誰とも結んでいない」というところです。「エンドース契約」とは簡単に言えば、その契約のランクにもよりますが、最上級のランクだとそのメーカの製品を無償提供する代わりに、ライブ等ではそのメーカーの楽器しか演奏できないという広告を目的とした強い契約のことです。
FenderやGibsonなども各アーティストと積極的にエンドース契約を結んでいますが、ナッシュギターは唯一誰ともエンドース契約を結んでいないメーカーです。ですが、ナッシュギターの所有者として挙げられる有名なアーティトは「元オアシスのノエル・ギャラガー」を始め、音楽史に名を刻んできた伝説級のギタリストやバンドばかりです。因みにですが、この情報はNash Guitarsの公式HPから確認できます。
つまり、これらの伝説的なバンドやプレイヤーは、自らの意志でナッシュギターを選んだというまさに、知っているは知っているという伝説級のギターメーカーなんです。
この説明を見て興味がありましたら、是非置いてある楽器店や各メディア、公式HPから音や情報を実際に確認してみて下さい!
まとめ
今回は「ビンテージ商品は本当に良いのか?」という点から「最高の一本を選ぶコツ」に加え「本当は教えたくない伝説のメーカー」を解説しました!
楽器はあくまで、自分の内面にある「音楽」や「音楽性」を外に運び出す「手段の1つ」です。せっかく高級ラインの楽器を検討しているのであれば「ビンテージ」「現行品」という言葉に惑わされず、自分がどういったジャンルを演奏したいか、そのアンサンブルの中でどういった性能や音が欲しいか等をしっかり検討した上で購入するようにしましょう!
本サイトでは、こういった今まで教えてもらえなかった、音楽の「根本」から考え商品を検討する記事や、音楽そのものを考える記事も積極的に制作しています。今では良く考えなかったけれど、単純に考えたらそうかもという「目からうろこが飛び出る」ような発見に思えるような記事もあるかと思いますので、気になりましたらトップページやカテゴリ―ページから記事を読んでいただけますと幸いです!
この記事が面白い、勉強になったという方は商品を検討していなくても音楽の知識を紹介している記事は他にもたくさんありますので是非他の記事も見ていただければと思います!
本記事の内容は、実際の制作・宅録環境での使用経験や、複数の機材・手法を比較した上での判断をもとにまとめています。環境や目的によって最適解は変わる為、あくまで一つの現実的な指針として参考にして下さい。