
**この記事は私が19年の音楽制作経験に基づいて、初心者の方の失敗を減らすために執筆しました**
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DTMで楽曲制作やミックスをしている際、行き詰まったらすぐにSNSやネットで調べられる。これは現代の最大の利点ですよね。
ですが、それが同時に大きな「落とし穴」であることに気づいている方は、意外と少ないのではないでしょうか。
なぜなら、そこで得られる情報の多くは「プロの音」ではないからです。
ここで「ギクッ」とした方は、ぜひこの記事を最後までご覧ください。 本記事では、技術や理論以前の「根本的すぎて見落としやすいポイント」をいくつか紹介します。
ひとつひとつの変化は微々たるものかもしれませんが、DTMの世界ではこうした小さな積み重ねの差が、最終的に「アマチュア」と「プロ」を分ける大きな壁となります。
今日からすぐに取り組める内容ばかりですので、早速チェックしていきましょう!
参考楽曲(リファレンス)を研究するクセを付ける
SNSや各メディアの情報が悪いとは言っていません。確かに、「機材の使い方」や「楽曲を作るための理論」という点ではいい情報を得られることもあると思います。
しかし、インターネットで調べる際に最も気をつけてほしいのが「音作りや楽曲の細かい作り込み」に関する情報です。
こうした作り込みの情報も溢れていますが、結論から言えば、それはあなたが目指している「あの楽曲のような響き」や「あのアーティストのような質感」には直結しません。
では、どうすればそこに直結するかという点が疑問かもしれませんが、これは当たり前ですが「参考楽曲(リファレンス)を徹底的に分析」するしかありません。
プロの世界でも「あの楽曲のようなニュアンスで」という仕事は少なくありません。ですので、リファレンスを深く研究する技術は、プロとして仕事をする上でも大きな武器になります。もし、まだ「リファレンスを元にした制作」を習慣にしていない方は、ぜひ今日から取り入れてみてください。
徹底的な研究を行った上で、
- この楽曲はどんな機材を使用しているのか?
- その機材の基本的な使い方は?
- そのフレーズを構成している理論的な要素は?
- 各楽器の具体的な奏法は?
といった「調べれば確実に答えが出る部分」を補完するためにインターネットを活用しましょう。ネットの情報は、リファレンスを正しく解読するための「辞書」として使用するのがおすすめです。
最低でもインターフェースのモニター音量をいじらない
音楽を聴いているとき、その時の気分で適当にボリュームを上げ下げしていませんか?
実はこれ、耳を鍛える上では非常にもったいないことです。もちろん、昼夜の騒音対策など環境上の理由は別ですが、それ以外の場合は「モニター音量を常に一定に保つ」ことを心がけてみてください。
現代の各アプリでは、異なる楽曲でも音量を均一にする「ラウドネスノーマライゼーション」が導入されています。かつては「音圧は高ければ高いほど良い」という時代もありましたが、現在は多くの媒体で「-14LUFS」が基準となっており、無駄に音圧を競う必要はなくなりました。
プロはこの基準を意識し、聴き手が「一定の音量で聴くこと」を前提に、繊細なミックスやマスタリングを行っています。
だからこそ、私たちも「常に一定の音量で聴く」ことで、楽曲研究の質が劇的に変わります。音量を固定して聴き比べると、以下のような細かい変化に気づけるようになります。
- 「この曲はシンプルな構成なのに、和音や周波数が綺麗に整理されているな」
- 「この曲はパンやリバーブの使い方が巧みで、空気感が丁寧に作られているな」
- 「他の曲よりコンプ感が強いのに、なぜか聴いていて違和感がないな」
この「なぜ?」を見つける力こそが、楽曲制作やミックスの上達を早める最大のポイントです。
「それだと、ゲームや映画を観るときに音量が合わないよ!」という方は、インターフェースのつまみをいじるのではなく、各アプリ側の設定で調整するのがおすすめです。PCやモニターのマスター音量は、あなたの「耳の基準」として固定しておきましょう。
ずっと同じヘッドフォンやイヤホンで聴く
音量を一定に保つのと同じくらい大切なのが、常に同じヘッドホンやイヤホンで聴くことです。その理由はシンプルで、「その音の質感で耳の基準を育てる」必要があるからです。
よくあるケースとして、以下のような使い分けをしていませんか?
- ゲームをする時はゲーミングヘッドセット、音楽を聴く時はリスニング用
- 家では高級なヘッドホン、外出先では100円ショップのイヤホン
「用途に合わせて使い分けたい」という気持ちは分かりますが、DTMの上達という面では少しもったいないと言えます。なぜなら、再生機器によって「音が聞こえる幅(再生能力)」が顕著に変わってしまうため、ある環境で感じた「なぜ?」という違和感も、別の環境では「気のせいかな」とスルーしてしまう原因になるからです。
事実、私がこれまで出会ってきたプロのエンジニアの方々も、「自分の基準」を大切にされている方もいらっしゃいました。例えば、
- 「イヤーパッドはカスタム交換するけれど、ずっと愛用しているaudio-technicaのイヤホンじゃないと判断がつかない」
- 「新しいモデルは気になるけれど、業界標準のSONY MDR-CD900STで耳が慣れきっているから、結局これじゃないと仕事にならない」
このように、プロの世界では価格や最新スペックよりも「自分の耳が環境に慣れているか」を優先される方も多くいらっしゃいます。
「なぜ?」という気づきの芽を摘まないためにも、リファレンスを研究する際は極力、場所を問わず同じヘッドホンやイヤホンを使うようにしましょう。それが、あなたの「耳の基準」を最短で育てる近道になります。
モニタースピーカーで聴く場合はなるべく「良い音」にする
音量やイヤフォン・ヘッドフォンを同じものにする重要性は先程記載したとおりですが、スピーカーで聴く場合は「いかに良い状態で音楽を聞けるか」が大切になってきます。これは高価なスピーカーに買い替えることを推奨している訳ではありません。ではどういうことかと言うと、
- 耳の高さとスピーカーの位置(ツイーターの高さ)は合っているか?
- インシュレーターを使い、デスクの不要な共振を抑えられているか?
- 壁との距離や角度は、そのスピーカーの理想的な配置になっているか?
- 「部屋鳴り(定在波)」への対策はできているか?
- 音響補正ソフトを活用できているか?
等の部分です。これらは業界では「スピーカーのチューニング」と呼ばれ、特にミックスやマスタリングのエンジニアの中で注力されている部分です。
中にはスピーカーの配置だけで特許を取る方や、安定した電力を求めて電柱を立てる方、さらには電圧環境を求めて海外へ移住する方までいるほど、音の出口の環境作りはまさに底なしの分野になっています。
筆者は個人スタジオですから、正直なところ、流石にすべては網羅できません。ですが、配置や角度、部屋鳴りの改善、そして音響補正を組み合わせることで、可能な限りプロスタジオに近い環境を整えています。
特に「音響補正システム」は、プロの現場でも積極的に導入されている印象があります。導入にあって必要な費用も、3〜5万円台と比較的安くなっており、コスパはすごくいいなと感じています。
ちなみに筆者は、IK Multimediaの「ARC X(ハードウェア版)」を愛用していますが、これまで購入した数々の機材やプラグインの中でも、最も効果のあった商品だったと言っても過言ではありません。
完璧な環境構築は難しくても「良い音で聴く」ことは「音楽耳を育てる」ための最短ルートになります。ぜひ、できるところから見直してみましょう。
AIを活用する
現代ではAIによる作曲や音作りが可能になり、SNSなどでは賛否両論が巻き起こっていますよね。しかし、実際の制作現場を見渡すと、意外にも肯定的に捉えているプロが多い印象です。
特に、短時間での修正が求められる現場や、自分の専門外の知識が必要な場面において、AIは「最強の味方」になってくれます。
ジャズの巨匠であるチック・コリアは、アドリブについて簡単な要約ではありますが「自分の引き出しの多さと、それを引き出すスピードが重要である」と言っていました。これはDTMにも同じことが言えると筆者は思っています。
リファレンスのイメージに近づくために、どんなフレーズやコードが必要か。リファレンスの音質に近づけるためにはどんなエフェクト処理が有効か。など、引き出しは多いに越したことはありません。
ですが、「正解のない」分野である音楽では、すべての専門知識を個人で完璧に網羅するのは不可能です。事実プロでも知ってはいるけど、そこは専門分野じゃないから専門の人にお願いするということは少なくありません。
ここでAIの出番です。プロンプト次第ではありますが
- インスピレーションの源として: リファレンスに近いコード進行やフレーズのアイデアを生成させ、それを自分の感性でブラッシュアップする。
- 専門知識の補完として: エフェクトの仕組みや電気工学、熱力学といった、一次ソース(論文など)の読解が必要な物理的・技術的な情報を正確に要約させる。
冒頭でも記載した通り、AIも「音作り」や「機材の使い方」の細かいノウハウについては、インターネット上の多くの情報を学習するため、特に機材の使い方や、音色の作り方などにおいては、誤った回答をすることが多い印象です。しかし、上記の様な「事実に基づく情報の整理や要約」に関しては、人間よりも正確な情報を早く引き出すための最強の味方になってくれます。
勘違いしていただきたくないのは、AIだけで完結させるのを推奨しているわけでもありませんし、同様に、人の記事だけに頼り切るのも現代では「コスパの悪い」と言ってしまってもいいと思います。
ですので、自分にとって有益な情報は何かを判断しつつ、場合によって「AI」を自分の勉強ツールの1つとして取り入れるのも、現代的な上達の近道の1つと言えるかもしれません。
まとめ
本記事では、技術や理論の前に見落としがちな「プロの音に近づくための根本的な土台作り」について解説してきました!
もちろん、最新のプラグインや機材を購入することも、新しい音に触れたり、知識を深めたりするきっかけになるため、DTM上達における一つの正解であることは間違いありません。
ですが、こうした「根本の積み重ね」という土台がしっかりしていれば、新しく手に入れたツールをより深く、より良く使いこなせるようになっていき、その結果、最終的なアウトプットの質は段違いに良くなります。
本記事で紹介した内容は、どれも今すぐ取り組めるものばかりですので、まずは今日から、一つずつ試してみてください!
こうした「根本の変化」は、機材の購入とは違い、すぐに劇的な効果が見えるものではありません。ですが「継続は力なり」とはまさに言ったもので、続けていく中で、自分でも気付かない内に効果を発揮していると思います!
今までのやり方を見直すのは勇気がいることですが、1年後、3年後の自分を想像して、今日から「耳の改革」を始めていきましょう!
この記事が面白い、勉強になったという方は商品を検討していなくても音楽の知識を紹介している記事は他にもたくさんありますので是非他の記事も見ていただければと思います!
本記事の内容は、実際の制作・宅録環境での使用経験や、複数の機材・手法を比較した上での判断をもとにまとめています。環境や目的によって最適解は変わる為、あくまで一つの現実的な指針として参考にして下さい。